茶のしたくができております……カッコイイ!/NHK「その時歴史が動いた 戦国の茶人 秀吉と闘う ~千利休切腹の悲劇~」

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f:id:school_of_dog:20151105224443j:plain「権力に屈せず、茶の道の美学と堺の誇りを守ろうとする筋の通った人間」としての千利休が描かれる番組。やっぱり、「その時歴史が動いた」は見ていて楽しい。

 

 戦国時代、茶道が重要な政治道具として用いられていたのは有名なお話。この番組でも、茶道は「情報交換システム」であり、茶器は「部下を自分に引きつけておく重要なアイテム」であったと説明されている。分かりやすい。

 私は茶道の心得なんてまったくなく、ペットボトルでは綾鷹が好きだなぁとかそんな程度の感覚。ほら、あれでしょ。飲み会に強いヤツって出世するじゃん。飲み会での立ち振舞いを知っておけば、えらくなれるよね。みたいな訳のわからない捉え方をしていたこともあったりなかったり。

 

 茶道の歴史を大観するのに、桑田忠親『茶道の歴史』という素晴らしい本がある。今から40年ほど前の古い本だが、語り口が柔らかく、余話もたくさん。茶道の歴史というよりかは、茶道を通して見た政治史・文化史になっていて、とても勉強になる本だった(昔の読書ノートより)。もう一回読み直したいなぁ。

 

茶道の歴史 (講談社学術文庫)

茶道の歴史 (講談社学術文庫)

 

f:id:school_of_dog:20151105224443j:plain茶道が信長や秀吉に重んじられた理由について、この本には次のようなことが書かれていた。

 茶道(サドウだと茶頭と音が重複しちゃうので、チャドウと読んだほうがいいらしい)は「人と人との暖かい心のかよい」をもっとも重視しており、戦国の動乱を平定したかった信長や秀吉が茶道を重視したのは当然のことである、と。

 それにしちゃ、この番組で表される秀吉の振る舞いは「温かい心のかよい」もあったものではないのだけど、なるほど根源的にはそういう理由で茶道が重んじられたのかと納得だ。

 

 桑田先生は『茶道の歴史』の中で、士農工商の身分秩序ができたあと、あくまで町人に過ぎない千利休はその身分からはみ出した勝手なことをやり過ぎて恨みを買っていたとか、打首ではなく切腹、しかも2,000人の護衛をつけての切腹は大名並みの厚遇であったとか、利休についてもう少し相対的な描き方をしている。利休が絶対の正義であるわけではない、といいますか。

 だけど、この番組が悪いというわけではなく、ともすれば退屈になってしまいがちな文化史を政治に絡めてスリリングに表現するという意味でとてもおもしろいものになっていた。また、いつから利休と秀吉がすれ違ったのかを示す「新史料」も興味深い。