織りなす布はいつか誰かを……/小さな旅 時重ね 水輝き~滋賀県奥びわ湖~

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f:id:school_of_dog:20151105224445j:plain「縦の糸はあなた 横の糸は私♪」

 言わずとしれた超名曲、中島みゆきさんの「糸」。今、この曲を聞きながら書いている。 

 なんで突然「糸」なのかというと、今回珍しく「小さな旅」のBGMにこの曲が使われていたから。「糸」が使われるのが珍しいというよりかは、歌謡曲が使われるのが珍しいということ。それだけ、今回の主題が「糸」であるということが強調されている。

 

 長浜市の大音(おおと)集落では、昔から糸を紡いできた。「紡ぐ」とは、繭などから繊維を集めて束ね、糸にすること。しかし、大音で紡がれる糸は洋服に使われるわけではない。楽器糸になるのだ。

 キレイな湧き水を80度に熱し、そこに繭を入れて糸を紡ぎ出す。小さい泡が出るくらいの温度が適当なんだというのは、60歳の女性。こちらのサイトによれば、5軒あった撚糸業者も今では1軒だけになったとある。それが、この女性が働くところなのだろう。それにしても、「小さい泡が出るくらい」というのは分かりやすい。パスタを茹でたりなんかするときにも、小さい泡が出てきたら「あ、もうすぐ沸騰するな」って分かる。歴史の授業でも扱われるけど、やっぱりかなり熱いもんなんだなぁ。

 繭から引っ張り出した20本の繊維を1本に撚る。これをさらに100本束ねると楽器糸になるのだそう。ということは、ひとつの楽器糸を紡ぐためには20✕100で2,000本の繊維を撚らないといけない計算になる。うーむ。こうしてできた糸が音楽を奏でるのだと考えると、音の背景に何かを感じざるを得ない。

 

 それから、最初に出てくる西野水道。江戸時代の男たちが紡いだ糸が布を作り、今の長浜市西野に住む人々を守っている。「土地がここまで持ったのはご先祖のおかげ」という言葉に重みを感じる。

 琵琶湖で漁をする夫婦。「逢うべき糸に出逢えることを人は仕合せといいます」の世界だな。おばあちゃんの「あの人いるからできてるだけや」という言葉には温かみがある。