一朝一夕にできることは限られている/小さな旅 連綿と この手で~千葉県東庄町~

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f:id:school_of_dog:20151105224445j:plainこの何十年かで、私たちの生活は驚くほど変わった。なんでも人間の思うがままにできそうな時代が到来したような気がしてしまうけど、結局私たちは時間の重みに勝てないんじゃないかなぁ。そんなことを考えさせられる回だった。

 

 タイトルにもなっている「連綿」とは、「長くつながり続いて絶えないさま」という意味だそう。音も意味も似ているから「恋々」という言葉と混同されることがあるんだとか。連綿も恋々も、ボキャ貧の私はこれまで使った記憶がない。

 

 さて、今回の特徴として挙げられるのは、年数の単位がおかしいことでしょうか。何年とかじゃなくて、何百年とか普通に出てくる。

 例えば、今回登場する老舗の醤油蔵には288年の歴史がある。ここを継いだ者は代々「庄兵衛」と名乗るそうだが、現在の庄兵衛である73歳のご主人は「醤油を作る微生物はご先祖さまだ」みたいなことをおっしゃっていた。

 今やこういうのは機械で醤油を製造することもできるのだろうし、微生物を科学的に調達することもできるのでしょうけど、でも288年よ? それと同じ環境を、本当に人工的に作れちゃうのかしらん。美味しんぼの山岡さんみたいなことを言うつもりはないんだけど、やっぱりその歴史の重みってあるんじゃないかなぁ。彼なら「3日後、またここに来てください。本当の醤油を味あわせて差し上げますよ」なんて言いそうなもの。

 

 小かぶの話もそう。東庄町は下総台地での小かぶ生産が有名だそう。この収穫が面白い。誰かが後から土の上にポンと乗っけただけなんじゃないのってくらい簡単に引っこ抜ける。番組でも言われていたけど、赤ちゃんでも収穫できるんじゃないかってくらいよ。いや、もっとちゃんと埋まっていなさいよって。それこそ栄養素を得られる土に恋々としがみついていなさいよって。さっき手に入れたボキャブラリーを早速披露してみました。

 そんな小かぶを育てるためには、土に砂利が混じっていてはいけない。下総台地は関東ロームの痩せた土地だけど、それでもこの地は1,000年間大切に使われ、砂利が除かれてきた。確かに、あれほどまでに柔らかそうな土地は一朝一夕には作れないだろうということが素人目にも分かる。これまた、歴史の重み、時間の重みだ。

 

 過去を切り捨てる変化の時代。それは悪いことではない。便利になっていくのはいいことだ。だけど、千年レベルの時間の重みをたった数十年でひっくり返せると即断するほど、現代人は傲慢になってしまってはいけないような気がした。