攻めた映像の中で考える、人間という生物の本性/NHK「100分de名著 大岡昇平“野火”」全4回

概要

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f:id:school_of_dog:20151105224439j:plain2017年放送。24分✕4回。

 大岡昇平の『野火』を100分で紹介。

 最終回には、最近『野火』を映画化した塚本晋也監督がゲストで登場しています。

 

評価:4

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f:id:school_of_dog:20151105224439j:plain攻めたNHK。

 映像が非常にチャレンジングでした。

 

 画面に飛び散る血しぶき。

 うじゃうじゃ這いずり回るアリの群れ。

 唾液で糸を引く、ヒゲだらけの上官の歯。

 思わずボリュームを下げたくなるほどの、女の叫び声。

 花を取られた茎からドクドク流れ出る血。

 

 そして最終回には、塚本晋也監督の映画『野火』が少しだけ流れます。

 この映画はPG12なのですが、NHKの映像表現としては限界ギリギリのグロさがありました。

 

 『野火』の題材のひとつに「人肉食」があったり、映像も結構手加減していなかったりするので、食事中に観るべきではないのかもしれません。

 ですが、主人公田村の視点、それも極限状態の中で相当に狂ったサイケデリックな視点を表現しようとした映像は一見の価値ありです。

 

 さて、内容についてですが、この本ずーっと前に読んだことがあるような気がするのですがほとんど忘れていたので新鮮な気持ちで視聴できました。

 「道徳やモラルみたいな皮膜をひっぺがしたあとに残る人間の本質って、何?」。

 これが、この番組を通して追究しているテーマではないでしょうか。

 

 極限状態の中で自分のほしいものを相手が持っていたとしても、では早速奪い合いとなるのではなく、人は相手と経済的関係を結ぼうとするんですね。

 一方で、空腹の極限に直面した動物はきっと仲間の屍体を躊躇せず食べるでしょうが、果たして人間は?

 自分が同様のシチュエーションに置かれたらどうするだろうか?

 ちょっと考えさせられました。