10分くらいで読める! 公民・現代社会・政治経済で学習する「政治分野」の「流れ」を整理

「政治分野」の「流れ」を10分で

f:id:school_of_dog:20151105224448j:plainこんにちは。教頭のコーギーです。

 ここは、中学・高校で学習する「政治」の全体像を10分で読めるようまとめることを目的としたページです(読む速度を600字/分として、本文を6,000字くらいに)。軽くお酒を飲みながら、ざっくばらんに書きました。シラフでは、細かく書きすぎてしまうから。

 全体像をまずは把握することってすごく大切だと思うんですよ。これからどんなコースを走るのかが分からないでマラソンを始めるのは危ないですからね。

 ですが、特に公民分野については各単元について詳しく書かれているサイトはあるものの、全体を見通せるところって少ないような。そこで、僭越ながら中学生・高校生が勉強する公民分野「政治」の全体像をまとめてみようかなーと思った次第なのであります。

 

 政治分野では、

・民主主義

・日本国憲法

・基本的人権

・統治機構(国会・内閣・裁判所)

・地方自治

・国際政治

 といった内容を学習しますが、これらを点としてではなく、線としてつなげることはできないか。トライしてみたのがこのページになります。これ以上細かい内容については、とても優れた参考書を1,000円ちょっとで買えるので、私が書く意味はまったくないかなと。そもそも書けない。

 定期試験や受験で政治を勉強しないといけないけど、意味不明すぎワロタwwwって生徒に読んでもらえると、あぁ、そういう科目なのねと多少はわかるようになるかなぁ……?

 

政治とは、社会としての1コの意見を決めること

f:id:school_of_dog:20151105224448j:plainそもそも社会科公民分野とは、私なりに超意訳すれば「社会に一緒に生き、否が応でもつながりあうすべての人間の幸福合計値を最大にするためにはどうすればいい?」という問いを考える科目です。そして、この問いに答えるためのアプローチとして、政治と経済があるわけです。

 では、政治とは一体何なのでしょうか。

 

 「みんな違ってみんないい」という言葉がありますが、社会には「みんな違うけど1コに決めなきゃダメ」ということが無数にあります。

 例えば5人家族で夕飯を食べる時、5人バラバラのものを作るのは大変。そこで、何を食べるかに関する5コの意見から、家族という社会としての1コの意見を決めなければなりません。お金やお母さんの労働力、時間などの限られた資源を共有して一緒に暮らしている以上は、全部の願いを叶えることができないからです。

 もっと大きな規模の社会について見ると、人口1万人のX町で、ゴミ捨て場をどこに作るか、1万の意見の中から町という社会しての1コの意見を決める必要があります。なぜなら、ゴミ捨て場を作るお金や土地が限られているからです。

 さらに規模を大きくすれば、人口1億人の日本は、原子力発電所を使っていくかという問題について決める必要があります。

 

 政治というのは、たくさんの意見の中から、社会としての1コの意見を決め、実行することです。じゃあ、どうやって決めるの? 誰が決めるの? 決まったことを守らなくてもいいの? こうしたことを考えていくのが中学・高校の政治分野。

 家族でも、クラスでも、職場でも、社会あるところに必ず政治はある。しかし、中学・高校の政治分野ではほとんど「国」という社会の政治について学習していくことになります。

 

誰が決めるのか?

f:id:school_of_dog:20151105224448j:plain政治分野の学習は、「民主主義」という単元から始まります。

 

 社会にはさまざまな人が共に暮らし、関わり合って生きている。その中から、社会としての1コの意見を決め、実行する。これが政治でした。税金はどうするの? X国と仲良くするの、戦争をするの? 何をしたら犯罪になるの? 国には決めなければならないことがたくさんあります。では、これらのことを誰が決めるのでしょうか?

 かつて、国のことを王様がすべて決めていた時代がありました。王様は神様から、国のことを決めていい権利を与えられたんだよー。だから王様が政治をすべてやっていいんだよー。このような考え方の下で、多くの民衆は無茶苦茶な制度を作られ苦しんできたのです。

 これをひっくり返したのが社会契約説。神が国を作ったのではなく、民衆が国を作ったんだという考え方です。

 この考え方に則って、「戦争とか、税とか、そういった俺たち国民のことについては、王様が決めるんじゃなくて、俺たち自身で決めるべきだ!」と革命を起こす人々も出てきます。

 

 革命によって、「王様・君主が決める主役となる」君主主義から、「国民が決める主役となる」民主主義へと変わる国が出てきました。民主主義って難しい言葉に聞こえますが、なんのことはない、「自分たちのことは自分たちで決めようという考え方」というだけのことです。

 

本当に国民が国の方針を全部決められるのか? 実行できるのか?

f:id:school_of_dog:20151105224448j:plain革命によって、王様ではなく国民が自分たちのことを決められるようになりました。ですが、本当に国民だけで政治をできるのでしょうか? 例えば、税の設定や外交、どこに道路を造るか、どうやってエネルギーを確保するか、こうしたことを決めるには相当の知識が必要になります。それから、話し合いには時間がかかりますが、仕事はどうするのでしょうか? 何より、日本なら1億人で集まって話し合い、結論が出るのでしょうか? どうやら、国民だけで政治をやるのはかなり難しいぞということになってくるわけです。

 そこで、人々は「自分たちの代わりに話し合いをし、最終決定をする少数の代表者を選ぼう」と考えます。

 

 国民 → 代表者(決める人) → 決定事項 → 国民

 

 代表者を間にかませることで、先ほどの問題は解決しそう。こうした、「国民が国のあり方を決めるのだけど、実際に話し合いをするのは代表者だよ」という仕組みを間接民主制といいます。一方で、国民が実際に話し合いをして決めるしくみは直接民主制。

 

 さらに、例えば「みんなでお金を出し合って、ここに橋を造ろう」という決定がなされたとしましょう。当たり前ですが、決定されただけでは橋はできず、誰かが実行しなければなりません。では、その橋を作るのは誰ですか? お金を回収するのは誰ですか? これもかなりの時間と知識が必要なので、国民が直接やるのはムリだということになります。そこで、決定事項を実行する人も専門に置いたほうがいいなということに。

 

 国民 → 代表者(決める人) → 決定事項 → 実行者 → 国民

 

 学校でも生徒会や実行委員会を置いて、実際の話し合い・実行は彼らに任せるなど、同じようなしくみを作っているはずです。政治って難しいものではなく、順を追って考えれば小学生でも思いつくしくみになっているのです。ただ、言葉が専門的なだけ。「なぜ?」という部分を置き去りにして、結論だけを、しかも難しい言葉で暗記しようとすると挫折します。

 

国民は決まった内容を守るのか?

f:id:school_of_dog:20151105224448j:plain代表者が話し合い、「みんなでお金を出し合って橋を造ろう」という決定がなされたとします。ですが、「俺はお金出さないもんね」と決定に従わない人がいるかもしれません。

 そもそも、政治をしたところで全員の幸福を満足させることはできっこないのです。税の使い方、国の方針が納得のいかないよう決まってしまうこともしばしば。ですが、自分が望んでいたのと違うからといって、「それには従わない!」ということが許されてしまえば、世の中えらいことになってしまいます。

 そこで、決定事項には強制力が働きます。この強制力を権力といいます。権力ってなんだか怖い言葉ですが、権力がなければ欲望を働かせ放題の大変な国になります。あいつが憎いから殺人を犯す。気に入らないから税金を払わない。こんなことでは、その社会の人間が全滅してしまうことでしょう。そもそもに公民分野は、あらゆるところで人間を悪であると捉えています。人間はどうにかして自分の利益を大きくしたい。そんな欲望を、道徳だけでどうにかできるとは思っていないのです。

 また、決定事項を具現化し、「こんな権力を働かせてもいいよ」と約束したものを法律といいます。

 

 国民 → 代表者(決める人) → 決定事項(法律) → 実行者(権力を行使できる) → 国民

 

権力の暴走を防ぐために、憲法が作られた

f:id:school_of_dog:20151105224448j:plainいくら社会の維持に権力が必要だからといっても、国民が選んだ代表者・実行者が無制限に権力を使えるようでは危ない。大きすぎる権力は、歴史の中で必ずといっていいほど暴走してきました。

 そこで、権力を使える人間に対し「こういう権力の使い方をしちゃダメだよ!!!!」と縛るルールが必要になります。このルールを憲法といいます。

 教員でもよく勘違いしている人がいるのですが、国民は基本的に憲法を守る(書かれている内容に従う)必要がありません。日本国憲法第99条を見てみましょう。これは、誰が憲法を守らなければならないのかを定めた条文なのですが、

 

「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」

 

 と書かれているんです。この中に「国民」とは書かれていない。登場するのは権力を行使できる側の人たちばかりです。憲法とは何かをしっかり押さえれば、政治分野の50%くらいは分かったも同然なのです。

 

 国民 → 憲法 → 代表者(決める人) → 決定事項(法律) → 実行者(権力を行使できる) → 国民

 

憲法には何が書かれているのか?

f:id:school_of_dog:20151105224448j:plain権力の使い方として憲法はどのような制限をかけているのでしょうか?

 日本国憲法の目次を見てみましょう。

 

前 文

第1章 天 皇(第1条-第8条)

第2章 戦争の放棄(第9条)

第3章 国民の権利及び義務(第10条-第40条)

第4章 国 会(第41条-第64条)

第5章 内 閣(第65条-第75条)

第6章 司 法(第76条-第82条)

第7章 財 政(第83条-第91条)

第8章 地方自治(第92条-第95条)

第9章 改 正(第96条)

第10章 最高法規(第97条-第99条)

第11章 補 則(第100条-第103条)

 

 日本国憲法の内容は、権力の制限という観点で次の2つに分けることができます。

 ① 法律を作り、権力を使う際に守らなくてはならない最低限のルール(基本的人権)

 ② 法律の作り方・使い方(立法・行政・司法)

 

① 法律を作り、権力を使う際に守らなくてはならない最低限のルール(基本的人権)

f:id:school_of_dog:20151105224448j:plain憲法に書かれている国民の権利(基本的人権)を侵害するような法律を作ることはできません。仮にそういう法律を作ってしまった場合は、最高裁判所という機関によって消されたり直させられたりすることになります。

 また、基本的人権が守られていなければ、それを守るための法律を作らなければなりません。

 たとえるなら、権力を伴う法律はすべて基本的人権というテーブルの上に乗っていなければいけないのです。政治も経済も、できるだけ多くの人間を幸福にすることを目的としていますが、誰かの犠牲によって幸福が最大化されるのはダメなのです。

 

 基本的人権には、大きく分けて次のようなものがあります。実際はそれぞれの人権の中にも細分化されたさまざまな人権があるのですが、ここでは省きます。

 ・権力によって自由を妨害されない権利=国に何かをされない権利(自由権)

 ・困ったときには権力によって助けてもらえる権利=国に何かをされる権利(社会権)

 ・差別されず、平等に扱われる権利(平等権)

 ・国の決定(政治)に携われる権利(参政権)

 ・国がもし権力によって国民を傷つけたら、その償いを求められる権利(請求権)

 

 ただし、無制限に基本的人権が認められると、今度は他の人の基本的人権が傷つくかもしれません。誰かの人権を認めれば他の誰かの人権が傷つく場合、人権は制限されます。

 

国民 → 憲法 → 代表者(決める人) → 決定事項(法律・ただし基本的人権を守っていないといけない) → 実行者(権力を行使できる) → 国民

 

② 法律の作り方・使い方(立法・行政・司法)

f:id:school_of_dog:20151105224448j:plain法律を作ることを立法、作られた法律を実行することを行政、その法律がうまく機能しているかを監視し調整することを司法といいます。そして、立法機関を国会、行政機関を内閣、司法機関を裁判所といいます。

 

 基本的人権が守られれば権力は暴走しない? それだけでは甘い。

 例えば、「1人の賛成があれば法律を作ることができる」という立法のルールがあったら、どんな法律でも作り放題。法律に沿って権力を働かせられるので、これでは権力は暴走してしまいます。

 「代表者を選べる国民は、年収1億円以上の者だけとする」「法律を実行する際にいうことを聞かない国民は、処刑してもよいものとする」「法律を守らない国民の言い分は、秩序を守るためにも無視してよいものとする」などなど、立法・行政・司法のやり方を間違えれば権力はいくらでも暴走してしまうのです。

 そこで、代表者はこうやって選ぶんだよ、その代表者の会議はこういう風にするんだよ、決定内容を実行する時はこうするんだよ、法律を守らない国民がいたらそれが悪いことかどうかをこういう手順で判断するんだよ、というきまりごとも必要なんです。

 

国民 → 憲法 → 代表者(決める人・ただし決め方は憲法に従わなければならない) → 決定事項(法律・ただし基本的人権を守っていないといけない) → 実行者(権力を行使できる・ただし権力の行使は憲法に従わなければならない) → 国民

 

国より小さな社会、大きな社会ではどうやって政治をするのか?

f:id:school_of_dog:20151105224448j:plain政治とは、たくさんの意見の中から社会としての1コの意見を決めて実行することだ。そのためには、なるべく多くの人が納得する決め方を決めないといけない。色々と考え詰めていったら、こんなしくみができあがりました。先ほどまでこういったことをお話してきました。

 ですが、「さっきから、社会とは言っても国の話しかしてないじゃないか。 もっと小さい社会や大きい社会では、どうやって政治すればいいんだよ!」というツッコミを入れたくなりませんか?

 

 政治分野では基本的に「国」という規模の社会について勉強する割合が75%くらいですが、別の規模の社会での政治のやり方についても少しだけ取り扱っています。

 

 まずは国より小さな規模の社会ということで「地方」。地方というと普通は田舎を想像しますが、公民で地方といえば都道府県と市区町村を指します。だから、東京都も地方。地方にも、決めなければならないことはたくさんありますよね。

 国の政治と地方の政治は、少し勝手が違います。そもそも国の政治で国民が話し合いをせず、わざわざ代表者を置くのは、①国民の人数が多すぎて決まらないから、②国民に政治をするための知識がないから、という理由によるものでした。しかし、地方についていえば、①人数は国と比べてそこまで多くない、②地方のことはそこに住んでいる人が一番良く知っている。というわけで、代表者を置かなければならない理由が弱まるんです。

 もちろん地方にも代表者は必要ですが、国と比べて民が政治に参加できる、あるいは参加すべき割合が大きいのが地方の政治の特徴です。そのために、政治の仕組みは国とやや異なります。

 東京都の都市とどこかの山村では、求めていることが異なるのは当たり前。だから、国民みんな同じでいい部分(外交とか、自衛隊とか)は国が決めるとしても、地方ごとに異なるべきものは地域で決めたほうがいいですよね。国に任せず、地方が自分たちで政治をすることを地方自治といいます。

 

 それから国より大きな社会ということで「国際社会」。人と人との間で食い違う意見から、国としての1コの意見を決めるのが国の政治だとすれば、国と国との間で食い違う意見から、国際社会としての1コの意見を決めるのが国際政治です。どうすれば戦争を防止できるのかがカギとなってきます。

 国の政治で決まったことを守らない国民は、国が権力を働かせることによって強制的に守らさせられました。では、国際社会の政治で決まったことを守らない国に対しては、誰が権力を働かせるのでしょうか。ここが難しいところなんですよ。

 適切な権力が働かなかったことで、国際社会は歴史の中で第一次世界大戦や第二次世界大戦などの大失敗をしでかしてきました。そこで、「国際連合」という戦争防止システムを創ることになりました。

 

まとめ

f:id:school_of_dog:20151105224448j:plain以上、政治分野について薄平べったいおせんべいのように伸ばしてまとめてきました。受験勉強では、これらの内容をより深く学習していくことになります。すぐ書き終わると思ったのに時間かかった……。

 高校3年生が学習する政治経済のレベルでも、ここに書かれた内容を土台にさらに深めていくのみです。教科書や参考書での、政治分野の学習内容をまとめてみましょう。

 

 最初は、君主主義から革命によって民主主義となった過程を学習。次に、各国の政治制度(日本の政治制度も学んでないのに、なぜ外国の政治制度からやらねばならぬのか……)

 日本は間接民主制をとっているから、色々な仕組みが必要だ。大事なのは憲法。代表者に権力を委ねる以上、権力を制限しないといけないからね。まず日本国憲法ができた歴史。日本国憲法の特徴(平和主義はここに入る)。権力の制限その①として、基本的人権。ここが重たい。権力の制限その②として、国会・内閣・裁判所による権力の働かせ方ルール。ここも重たい。それから地方自治。代表者の選び方と、選ばれた代表者のグループ(政党)。

 最後に、日本を飛び出して国際政治だ。ここは、どうすれば戦争を防げるかがテーマに。戦争を防止するために作られた国際連盟は、なぜちゃんと機能しなかったのか。国際連盟の欠点を克服するために作られた国際連合とはどんな機関なのか。国際社会では、今どういう争いが起こっているのか。

 

 受験のための学習内容は、これでほぼ全部のはずです!

 そして、この記事ではこれらの内容を流れとしてつなげてきました。ちょっとでも誰かのお役に立てばいいなぁ。

 

 この記事を読んだ後に本格的に学習を始めるなら、大学受験生ならレベルにあわせて次のものを用意すればいいかな。参考書レビューや学習法紹介もいつかしたい。

 

・講義型の参考書(全部使ったことがありますが、以下の中ならどれでもいいような……。浮気しないで使い込むことが大切なのかも。文量が多く全体が見えづらいというハードルがあり、それを乗り越えるためにこのページを作った次第)

畠山のスパッとわかる政治・経済爽快講義 改訂5版

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センター試験政治・経済集中講義 三訂版 (大学受験super lecture公民)

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理解しやすい政治・経済 新課程版

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・一問一答

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・レベルに合わせた問題・過去問