人間は利己的だからこそ、平和になれる?/NHK「100分de名著 カント“永遠平和のために”」全4回

概要

f:id:school_of_dog:20150803102459p:plain2016年放送。24分✕4回。

 哲学者カントが18世紀に記した『永遠平和のために』を解説する番組です。

 カントが考え詰めた「戦争が起こる原因」「戦争を防ぐための条件」を理解することができます。

 解説者は、気鋭の哲学者である萱野稔人さん。

 第1回~第3回の内容は平易。

 第4回はやや難解だが、これは番組が悪いわけではなく、カントがそもそも難しいということかと……。

 

カント『永遠平和のために』 2016年8月 (100分 de 名著)

カント『永遠平和のために』 2016年8月 (100分 de 名著)

 

 

評価

勉強度:4

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f:id:school_of_dog:20151105224448j:plain「どうして戦争が起こるのか?」「どうすればそれを防げるのか?」ということについてはなんとなく知っておきたい。

 そのためには、カントの『永遠平和のために』が結構大事そうだ。

 分かっているけど、難しそうでカントを読む気にはならないのです!

 というか、私の力では読めないのです!

 その点、「100分de名著」はいい番組ですね。

 伊集院さんのコメントが、理解を促進してくれます。

 

面白さ:3

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f:id:school_of_dog:20151105224448j:plain議論の軸や構成は明快です。

 「『人間みんなが他の人に対して優しくなれれば、戦争なんて起きなくなるのに』なんてことはありえない。人間はみんな利己的だよ。でも、人間は利己的であるってことにちゃんと向かい合って考え詰めれば、戦争をなくす方法って見つかるんじゃないかなぁ?」

 という問いを100分で追っかけていきます。

 なるほどと頷くところもたくさんありました。

 ただ、バラエティ番組ではなく教養番組ですし、題材も物語ではなく哲学書なので、勉強意欲がない状態で見始めた人を惹きつけることはできないのかも。

 

総評:3

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f:id:school_of_dog:20151105224448j:plain「人間は他の人に対して常に優しくなんてなれない。むしろ、人間は利己的だ。だけど、利己的だからこそ平和にできる!」

 カントの思考を垣間見て、なるほどなぁと思いましたね。

 「人間は利他的ではなく利己的だ」という発想自体は、社会科学ではきっと常識なのでしょう。

 社会契約説なんて、まさにそこから始まっているのですし。

 ですが、カントは「そこから先」を考えています。

 ホッブズは「人間は利己的だから仕方なく……」の論でしたが、カントは「人間は利己的だという利点を持っている!」と言っているようで、目からウロコ。