School of Dog?

ブログというより、昔のホームページみたいな……。

ぶんぶく茶釜に会いに行く(群馬県館林市・茂林寺)

タヌキの聖地! 茂林寺

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f:id:school_of_dog:20151105224439j:plainカワイイのかサイコなのかよくわからないタヌキだなぁ。

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plainここは、群馬県館林市の茂林寺(もりんじ)。

 タヌキマニアであれば、一度は来なければならないところね。

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plainそのタヌキマニアとやらが全国にどれくらいいるのか分からないけど、確かにここはタヌキの聖地だ。

 

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f:id:school_of_dog:20151105224439j:plainだって、お寺の入口からして、タヌキ・タヌキ・タヌキ! ……だもの。

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plainこのお寺がこんなにもタヌキをプッシュしている理由。

 それは、ここが昔話「ぶんぶく茶釜」の舞台だからよ。

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plain「ぶんぶく茶釜」か。

 むかーし、聞いたことあるなぁ。

 どんなお話だったっけ?

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plainこんなお話。

 ご存じの方はスルーして下さいな。

 

f:id:school_of_dog:20170803111110j:plain和尚さんが古い茶釜を買ってきて、お湯を沸かそうと火にかけたところ、茶釜が「熱い!」と悲鳴をあげた。

 気味悪がった和尚さんは、古道具屋にただで譲った。

 古道具屋は家に持って帰って、その茶釜がタヌキが化けたものだと知る。

 タヌキはその姿のまま元に戻れなくなってしまったというので、古道具屋はタヌキの言われたままに見せ物小屋を作ってやり、分福茶釜と銘打って見せ物をしてたくさんのお金を稼いだ。

 やがてタヌキは病気を患い、茶釜の姿のまま死んでしまった。

 古道具屋は茶釜をお寺に運んで供養してもらった。

 その茶釜は茂林寺に今も伝えられているという。

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plainお、最後に茂林寺が出てきている。

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plainこのお話には色々なバリエーションがあって、タヌキが死なないパターンもある。

 今は、「タヌキは捕まっていたところを助けられ、恩返しとして茶釜に化ける」という展開の方が主流らしい。

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plainそっちの方が、子どもウケはよさそう。

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plainさて、この茶釜だけど、上にも書かれている通り茂林寺に残っているのよ。

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plain本当か!

 早速見に行こう。

 尻尾とかはえているのだろうか。

 

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f:id:school_of_dog:20150803102459p:plain境内には、茶釜verのタヌキ像もあります。

 

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f:id:school_of_dog:20150803102459p:plain「ぶんぶく茶釜」には、実にさまざまなバリエーションがあります。

 元々は、「茂林寺の守鶴というお坊さんが無限にお湯の湧く茶釜を使っていたが、実はこのお坊さん、スゴいタヌキだった……」というお話だったようです。

 「ぶんぶく」という言葉についても、福を分ける茶釜という意味から「分福」になったという説、水が沸騰する「ぶくぶく」から来ているという説など、複数の説あり。

 

タヌキのおっとりしたイメージはどっから来ている?

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plainところで、タヌキの昔話といえば「カチカチ山」もあるな。

 今思えば、タヌキの懲らしめられようは結構えげつない気がする。

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plain背中でやけど → 傷跡にトウガラシ → 泥舟で溺死、だものね。

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f:id:school_of_dog:20150803102459p:plain描いてから気付きましたが……カチカチ山のタヌキは憎らしいからこそこの「懲らしめ」が成立するのであって……。

 憎らしくないタヌキの柴を燃やしてはならない(戒め)。

 

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plain昔話で描かれる、タヌキの親しみやすいというかおっとりしているというか、キツネみたいにズルくないというか、そういうイメージってどこから来てるんだろう?

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plainワタシも気になったことがあって、高槻成紀先生の『タヌキ学入門』って本を読んでみたことがあるわ。

 そこで面白い説明がなされていたから、紹介してみることにしましょう。

 

タヌキ学入門: かちかち山から3.11まで 身近な野生動物の意外な素顔

タヌキ学入門: かちかち山から3.11まで 身近な野生動物の意外な素顔

 

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plainこの本で紹介されている、タヌキにおっとりイメージが定着している理由をふたつ挙げるわね。

 理由その①。

 タヌキってね、秋になるとすっごく太るのよ。

 体重は50%も増えるんだとか。

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plainそ、そんなに増えるのか!

 ポンポコ腹太鼓のイメージもそっから来ているんだな。

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plainそれが幼児や太めのおじさんを連想させ、おっとりしたイメージにつながるみたいね。

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plain倫理とかで勉強するクレッチマーの性格類型でも、「肥満型=温厚」だもんな。

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plain理由その②。

 タヌキは黒目がちな上、目の周りの黒い模様が垂れて見える。

 これが幼児を連想させるんじゃないかと。

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plainなるほどなるほど。

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plain一方で「タヌキは人を化かす」とか、「タヌキおやじ」とか、別なイメージもあるのが面白いところで。

 今回はテーマが「ぶんぶく茶釜」だからこれ以上の説明は省くけど、とにかくタヌキは古来から人間に特殊なイメージを持たれてきた動物だってことがわかるわね。

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plain人間の創作物に登場する回数で言えば、我らイヌともいい勝負になるんじゃないか?

 ちょっとジェラシーを感じるぞ……!

 

ぶんぶく茶釜とご対面

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plainそんな雑談をしていたら、宝物殿まで来たわ。

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plain入口前をほうきで掃き掃除しているおばちゃんに声をかけ、300円払って中に入る。

 ちなみに確認したところ、宝物殿の写真撮影はできないとのこと。

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plain奥に進むと、あ、例の茶釜がありました!

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plainタヌキ感は当然ながらまったくない。

 真っ黒で重厚な茶釜がガラスケースに入っているな。

 スピーカーから茶釜の説明が流れているぞ。

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plainこれ、タヌキが化けている(化けていた)のなら、ものすごい変身能力ね。

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plain茶釜の近くには、タヌキを扱った数々の作品が展示されている。

 

タヌキとキツネ (リラクトコミックス)

タヌキとキツネ (リラクトコミックス)

 

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plain『タヌキとキツネ』というマンガが置いてあったので、読んでみた。

 やばい、なにこれ、ものすごく癒される。

 この作品でも、「ちょっぴりぬけているタヌキと、ちょっぴりいじわるなキツネ」という、彼らの教科書的イメージを踏んだ設定になっている。

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plainその他、映画から同人誌までが置かれており、このお寺の懐の広さを感じたわ。

 

帰り道、タヌキに化かされる?

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plainふー、今日もいい散歩ができたな。

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plainじゃあ、帰りましょうか。

 

売店のおばちゃん「あら、お帰りですか? 今日はずいぶんとカッコイイ自転車で来たんですねぇ。気をつけて帰ってくださいね」

 

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plainいやはは、ずいぶんと時間がかかりましたけど、ちょっと運動しなきゃなぁって思いまして。

 では、失礼します!

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plain(……アレ?)

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plainいやぁ、あんな風に声をかけてきてくれると嬉しいな。

 いかにも旅行している!

 って感じでさぁ。

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plain……あのさマロ先生?

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plainん?

f:id:school_of_dog:20151105224442j:plainなんで相当離れた駐輪場に停めているのに、しかも来るとき売店の前を通っていないのに、ワタシ達がロードバイクで来たことを知っているの……?

f:id:school_of_dog:20151105224439j:plain……。

 (どゆこと……? おばちゃん実はタヌキだったん……?)

 

【参考資料】

曹洞宗茂林寺|トップページ

分福茶釜 - Wikipedia

茂林寺の釜 - Wikipedia

・高槻成紀『タヌキ学入門』(誠文堂新光社、2016)

 

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f:id:school_of_dog:20150803102459p:plain『タヌキ学入門』は、実に面白い本でした。

 タヌキって、強い動物なんですね。「この条件が揃わないと生きていけない」という条件がとても柔軟で、居住環境や食べ物がある程度変わっても生きられるんだとか。

 でも一方で、『平成狸合戦ぽんぽこ』で有名になったように、タヌキの居場所はどんどん減っている。それに、ロードキル、つまり車に轢かれて死んでしまうタヌキの数は信じられないほど多い。

 写真は、タヌキの居住地であり、人間と自然をつなぎ合わせていると高槻先生が評価している玉川上水(中央線武蔵境駅から北にしばらく行った場所で撮影)。なるほど、確かにタヌキが住んでいそうな雰囲気があります。奥の影の辺りからタヌキが出てきて、こちらを振り返ってくれないかしらん。