School of Dog?

ブログというより、昔のホームページみたいな……。

蒲田行進曲

あの頃映画 「蒲田行進曲」 [DVD]

あの頃映画 「蒲田行進曲」 [DVD]

 

f:id:school_of_dog:20151105224444j:plainこの映画、コメディだと思って見始めたんですよ。

 そしたら、主要登場キャラクター3人の背景にあるものがどんより重たくてビックリしてしまいました。

 

 早速脱線しますが、私は仕事から帰ってきて、なかなか2時間近く映画を一気観する時間が取れないもので、2,3回に分割して視聴しています。

 いや、映画にあまり詳しくない私ですが、一気に見てこそ映画の面白さが伝わってくるという常識(?)はなんとなく理解しているんですよ。

 原田マハ『キネマの神様』でも、大の映画好きである主人公の父がこんなことを熱弁しています。

 「ゴジラ」の暗く重苦しく逃れようのない雰囲気は、テレビの洋画劇場で見たところで伝わってこない。

 迫りくる怪物にあともうちょっとで踏み殺されるという間際に、やたら明るいコマーシャルになごまされてもいいものか。

 あるいは、手に汗を握っているときにお袋さんがお茶とおかきをコタツに運んできたりしていいものか。

 想像しただけでもゲンナリするではありませんか。

 ……なるほど、確かにその通りであり、この点24時間もぶった切って映画を観ている私なんかは不届き者もいいところです。

 ですが、私は朝が弱いもので早寝しないと翌日大変なことになってしまいます。

 ちゃんとスッキリした頭で仕事をするのと、夜映画をぶっ通しで見るのと、どっちがいいかなと天秤にかけて、泣く泣く分割視聴をしているわけです。

 

 話がだいぶそれてしまいました。

 本題に戻りますと、私は2夜目にバトンを渡せるように、映画を観ながら手元にメモを置き、感じたことを殴り書いています。

 手元は見ないで、適当にガガガっと、てな程度ですが。

 蒲田行進曲のメモを見ると、「コメディのつもりで見始めたら、開始36分、全員どんよりしている」。

 自分の中にスターという虚像を持ちつつも、それを実現することができない銀ちゃん。

 銀ちゃんに憧れ続けるものの、ずっと大部屋で、本人も言っていたがまさに「うだつの上がらない人生」を送っているヤス。

 そして、メンヘラ気味な、おっと口が滑りました、銀ちゃんとヤスの間で揺れ、女としてのプライドを壊されてしまった小夏……。

 

 彼らに共通しているのは、「現実世界で自己実現ができていない」ということじゃないでしょうか。

 だからこそ、彼らはつくりものの映画の世界に惹かれていくんじゃないでしょうか。

 DVDの特典には、原作者のつかこうへい氏がこの映画に対してコメントした文章が収録されています。

 「この映画の誇るべきところは、ドキュメントでもなく、ノンフィクションでもなく、ただのつくりものだということです。久しぶりに、嘘にみちた映画らしい映画です」

 映画の中では、偽りの愛を本当の愛に変えてしまうことも、昼を夜に変えることも容易い(プロローグ)。

 だから、彼らはつくりものの映画に命を賭け、「階段落ちで死ぬ」という落ち着いて考えればバカバカしいことに魂を賭けるんじゃないかなぁ。

 それから、この作品自体も「つくりもの」なんだぞという、あえてリアリティから外した大げさな演出に満ちていて、怒涛の90分でした。

 

 名シーンはたくさんありますが、私はやっぱり、銀ちゃんの「上がってこい、ヤス!!」が好きです。